いつまでも、あると思うな補助金を
私が、この事業に関わってからわずか数年で約90棟の施設を手掛けることができた理由はなにか。謙遜するわけでもなんでもなく、「将来への予測が当たり時流に乗れたから」というのがもっともふさわしい答えだと感じます。サ高住の制度がスタートしたのももちろんではありますが、現実的には補助金という形で国の後押しがあったことにより、より地主さんに響く収支計画をご提案できた面も少なからずあります。
そして、私がこのようなことを強調するのも、いまこの時点ではまだ建設のチャンスが続いていると考えるからです。むしろ、同じ建てるのであれば確実に補助金が交付されるいまのうちに決断し、建設に踏み切る方が間違いなく賢いのです。
現在、サ高住建設で適用されている補助金制度は、「新築の場合の工事費の1/10以内を助成(上限100万円/戸)」という内容です。また、税制面でも優遇措置が設けられていて、サ高住であれば所得税、法人税、固定資産税、不動産取得税などの面で割増償却や減額措置を受けることができます。少なく見積もっても1億、2億の事業であるわけですから、10%はあなどれない数字。建設コストを抑えることの重要性はこの章でも触れましたが、そのための有力な答えが補助金の活用なのです。
しかし、補助金制度はいつまで続くか誰にもわかりません。私もフェアの会場などで同様の質問を受けるのですが、意地悪でもなんでもなく「まだしばらくは続くと思いますが……」としか答えようがないのです。高齢者住宅100万戸の整備を掲げる国の方針からすれば、いまはまだまだ供給が追い付いていない状況ですし、いますぐのタイミングでサポートを打ち切ることはまずないだろうとは予測できます。しかし、介護領域のこれまでの15年間を振り返っても、「なんでこのタイミングで?」と思うようなどんでん返しや、国が立てかけてあるハシゴを外すような制度改定も散見されるので、必ずしも安心できる状況ではないのです。それに、今後政権を担う与党や首相が変わった際にも、介護領域で大きな変化が起きる可能性はあります。
これは本当に”もしも“の話にはなってしまいますが……。現在の自民党政権は全国的に特別養護老人ホームの増設をはかっていく方針を発表しました。新聞等では、待機者の解消や家族の介護離職を防ぐことが目的であると書かれていたように思います。実際のところ、はじめて直面する高齢化社会において国もトライ&エラーを繰り返しているタイミングであり、もしも特養増設が今後の社会において大いに有益であると判断した場合は、「予算を一気に特養の方に振り向けよう」という決断をしないとも限らないのです。だからこそ、繰り返しにはなりますが「補助金制度があるうち」「国のお墨付きがもらえているうち」に事業をスタートするべきなのです!
面倒な補助金手続きもすべてお任せ
行政手続きというものは、おしなべて面倒くさいものです。率直に言って、サ高住の補助金申請も時間がかかるものですし、まったく初めての方が独力で取り組もうと思えばあちこちに電話し、窓口に足を運んでという労力が必要になるでしょう。お恥ずかしい話ですが、私たちも申請の段階で書類不備を指摘されて慌てて修正したりといった経験を幾度か経て、滞りなく進められるようになりました。私は基本的には外を飛び回っていることが多いのですが、社内には信頼できるスタッフがいてもろもろの事務作業を進めてくれますし、いざ建てると決まってからの書類関係は、地主さんが確認と捺印をすれば基本的に事足りるような体制になっています。