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高齢者住宅による土地活用、本当に大丈夫?

2019年11月01日

本当に大丈夫?

私の立場からすると「高齢者住宅で土地活用すれば絶対にうまくいきますよ」「地主さんにとって必見の資産運用ですよ」とでも言うべきなのでしょうが、その前にお伝えしておきたいことがあります。高齢者住宅による土地活用で、うまく安定的な収益を確保できる可能性はもちろんあります。

しかし一方で、目の前の損得を重視して自分本位な設計・運営をしてしまうパートナーとタッグを組んでしまったら即座に絵に描いた餅へと変わってしまうでしょう。

「どんな形であれ、自分の土地に高齢者住宅を建てさえすれば儲かる」と考えて本書を手に取られた方は、まずその考えを改めていただきたいと思います。
先ほどの章で述べたように、日本の高齢者は急増していて、これから先もどんどん増える一方です。
彼らのために住まいが必要ですし、最期を迎える日まで安心して暮らすための介護サービスが必要となります。ここまでは絶対に誰もが同じ共通認識を持っていますが、だからこそチャンスと捉えて新規参入する方も多くなっています。
私も日々いろいろな高齢者住宅の経営者にお会いしますが、前職あるいは本業は本当にさまざま。むしろ「ずっと介護関係、福祉分野で働いてきました」などという人の方が珍しい、と言えば少しはおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

倒産件数は前年度比50%増し!

そういえば、こんなデータもあります。東京商工リサーチによると、2015年1月~6月の半年間における介護事業者の倒産件数(負債額1000万円以上)は41件あり、この数字は前年同時期の46%増、つまり約5割増しになります。全産業の倒産件数が約10%減っているなかでこの数字はちょっと驚くべきものです。もちろん、事業者全体が増えているという側面はあるでしょう。

他産業が上向いたことに伴う人材確保競争の激化や人件費の高騰も理由となる
でしょう。さらには、介護保険制度が改正され、2015年4月から介護報酬が2・27%引き下げられたことによる影響も否定はできません。

確かに、2015年は大きな外的要因の変化があった年だとは思います。しかし、立ち止まってよく考えてみてください。待っていれば人材確保はこれから容易になりますか? 介護保険制度の改正は今回が最後ですか? 答えはもちろん「NO」です。

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