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世の中にとって意味のある仕事に取り組みたい

2019年07月18日

なぜ私たちがこの事業に力を注いでいるのか――。それをご理解いただくためには、わが社の歴史をご紹介させていただくのがもっともわかりやすいかと思います。くらし計画が設立されたのは2007年の10月。中学・高校時代の同級生3人が集まって立ち上げた、いわゆるベンチャー企業であり、私は創業メンバーの一員です。

当時の私たちは間もなく30歳を迎えるタイミングで、起業にあたっては「何をなすべきか」を真剣に何度も話し合いました。社会的意義のある仕事をしたいという想いはそれぞれに持っていたものの、正直なことを言えば「絶対に介護分野でなくてはならない」というわけでもありませんでした。しかし、言うまでもなく高齢者社会はこれからの日本を考えていくうえで無視はできない重要なトピックでしたし、そのなかで私たちにしかできない価値を生み出したいと考えるに至ったのです。
そこで、最初に手掛けたのが当時は「高専賃」(高齢者専用賃貸住宅)と呼ばれていた高齢者向け住宅の運営でした。兵庫県尼崎市にある「えみうむ大庄北」は全部で約50室。入居者ゼロの状態から、いかに入居者を募り稼働率を高めていくかが私たちの最初のミッションでした。でもいまでこそこうして本を書いたりもできるのですが、当時は介護の知識もおぼつかず……近隣の住まいにポスティングをしたり、入居希望者を集めての説明会やイベントを開催したりと、手探りで試行錯誤を重ねながらなんとかオープン後3か月で満室を実現できました。

当時の私の役割は施設に常駐する入居相談員。ご家族やご本人と面談し、ご質問に答えたり、もろもろの手配を進める立場です。

関わるすべての方が納得して入居、となればいいのですが現実はそう甘くありません。ご本人のおばあちゃんもいる前で娘同士が大げんかをしたり、厄介者を追い払うかのように施設への入居を決定する場面を目にしたり、など「そんなこと言わんでもええやん!」とこちらが思わず怒りたくなるような場面も一度ならず目にしました。また、やはり費用面で悩まれる方が多かったのも印象的でした。世の中でいちばん大事なものがお金というわけではありませんが、やはり望む暮らしをしようと思えば、少なからずお金が必要です。えみうむ大庄北でも周辺施設に比べるとリーズナブルな設定を採ってはいたものの、それでもその金額がネックとなって入居を諦める方もたくさんおられました。

ほかにも、当時はいろいろなことがありましたね。オープン間もないころには、手配していた当直スタッフが突然当日に来なくなり、私が急きょ当直に入ったことも数回ありました。幸いにも大きなアクシデントはありませんでしたが、もしものことを思って夜が明けるまでずっと気が気でなかったことを覚えています。自宅で介護をされている方は、常にこうした気持ちを抱えておられるのかと考えたものでした。

そういえば、身寄りのない方の引っ越しを手伝ったこともありました。高齢のご本人だけでは当然無理なので、週末に私が軽トラックを手配し、家財道具一式を運び出しました。「本当に自分がここまでしないといけないのか」と感じたことがなかったといえばうそになります。でも、目の前で必要とされているなら誰かが行わなければならないことですし、高齢者住宅の「リアル」を肌で感じることができたのは、いまになれば大きな財産だと感じています。

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