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地主さんのホンネ

2022年02月04日

ホワイトメソッドで土地活用 地主さんのホンネ

さて、ここまでは私がホワイトメソッドについてご説明をしてきましたが、実際にホワイトメソッドに沿って高齢者住宅を建てていただいた地主さんの声をご紹介したいと思います。ご登場いただくのは、兵庫県姫路市で300坪超の土地活用を考えておられた地主の大森茂さま。私がお手伝いをさせていただいたサービス付き高齢者向け住宅「ライフパートナー市之郷」は2015年7月より入居がスタートしています。今回、あらためてお話をするなかで、私にとってもためになるアドバイスやご指摘も多くありましたが、「地主さまのホンネ」として敢えて包み隠さずにみなさまにお届けできればと思います。

白藤(以下、白) まず率直におうかがいしたいのですが、高齢者住宅に興味を持ったのはどのような理由からなのでしょうか?
大森さま(以下、大) いちばんのきっかけとなったのは建設会社や業界団体が主催するセミナーでの情報ですね。土地活用は、いざ着手するとしてもある程度の時間が必要になるものですし、常に最新の情報に触れたり、学びながら、次の手を考えていかなければならないと私は考えています。私は、地元である関西だけでなく東京などへも足を運んで積極的にセミナーや勉強会に出席しているのですが、会場でもサ高住の名前を聞く機会も多くありましたし、これからの社会を考えても意義深い事業になるのではないかと感じていました。それに以前にも別の大手ハウスメーカーからデイサービス建設の提案を受けたことがあって、介護業界に対してまったく知識がないというわけではなかったのです。
 そもそもわが社を知っていただいたきっかけも名古屋で開催された全国賃貸新聞社主催のフェアでしたもんね。私たちがブースを出展していて。
 そうです。平成25年の7月に、フェアでくらし計画の名前を初めて知りました。一度話を聞いてみようかと担当者にお会いしたのがその年の10月でしたかね。いまでは少しずつ姫路市内でもサ高住は増えてきていますが、私の知る限り当時はまだ非常に数が少なかったんですよね。関心を持って取り組むのであれば、できるだけ早くに事業をスタートしたいという思いはあったのですが、ここからは少し時間が空きましたよね。正直なところ、最初の印象はあまりよくなかった。
 私が新担当として仕切り直しをさせていただいたのが、年明け間もないころでしたね。そこから収支や事業プランなどをご提案させていただき、実際にご契約をいただいて正式に事業がスタートしたのが5月となりました。
 もういまだからお話しますが、実は白藤さん以外にももう一社高齢者住宅の提案を受けていて、双方の案を見比べながら検討をさせてもらいました。比較してみると、くらし計画案の方が利回りも良かったですし、長期的なビジョンという面でも優れているように見受けられました。それと、地主側にとっていい意味で手間のかからない事業モデルであったことも魅力的に映りました。やはり私にとっても大きな仕事になりますし、かなり時間をかけて検討をさせていただきましたね。こちらにもお付き合いのある公認会計士や司法書士といった士業の方がいますし、彼らの助言を受けたこともありました。

 利回りに関しては、数字を飾ろうと思えば収支表上の細工ができないわけではないのですが……。

やはり現実性のないプランになってしまいますし、「長期間、確実に」という土地活用の趣旨からは外れてしまいます。いま、「利回りが良かった」とおっしゃっていただきましたが、それは決して「爆発的な収益性がある」という意味合いではなく事業の性格から考えて「妥当である」と感じていただいたのではないでしょうか。
 そうですね。もちろん事業として収支をプラスにすることは当然なのですが、さらに上位概念として「地域に必要とされる建物を作りたい」という思いがありました。社会貢献・地域貢献という言葉にしてしまうと面映ゆいですが、近隣の方とも私以前の代からのお付き合いがあるわけですし、「ただお金が儲かればいい」という事業は絶対にしたくなかった――。地域との関わりのなかでどう決断していくか、そしてどのように利益を生み出していくかを考える地主さんは多いのではないでしょうか。

事業を通じて社会的な責任も果たしていきたい

 地主さまのなかには、相続対策を目的とされる方もいらっしゃいますが?
 私に限っては、その優先度はそこまで高くなかったですね。自らも相続を経験した身として「次世代につないでいくために、なんらかの手は打たないといけない」と考えている部分はありますが、必ずしも今回のサ高住建設を相続対策として捉えているわけではありません。もちろん、土地は私の名義、建物は会社の名義にするなど今後のことを想定してはいるのですが……。
 そういえば、もともとあの土地はコイン洗車場として利用されておられたんですよね。今回、サ高住以外の他の土地活用案はなかったのですか?
 まずコイン洗車場に関しては、設備が経年劣化していましたし、継続をするにしても投資が必要でした。わざわざ洗車の設備に投資するくらいであればこの機に新しい事業に取り組むべきだと考えていました。ちょうどあの土地は8メートル道路にも面していますし、幹線道路である国道2号、312号からもすぐ。住環境としても落ち着いていますし、なにかこの土地を生かす用途はあるはずだと考えていました。
 あの土地だと、一般の賃貸住宅の建設は考えなかったのですか?
 その選択肢は最初からありませんでしたね。一般の賃貸住宅だと、より市内中心部にもたくさん新築されていますから。あの場所は姫路駅からだと多少距離がありますし、立地だけを比較しての競争になることは避けたかったのです。それに、賃貸住宅の場合は稼働率によっても先々の収支や償却期間が変動せざるを得ませんしね。今回のプランであれば20年できっちり投資した分の償却を終えつつ、その先に契約をさらに延長するのか、あるいはまた別の活用方法を考えるべきなのかを判断できるのではないかと感じました。
 しかし、駐車場経営やアパート経営の場合はこれまでに先行事例・成功事例がたくさんあります。

一方で高齢者住宅の場合はまったく新しい分野だったのですが、不安はありませんでしたか?
 なにをもってしてリスクと捉えるかにもよるかとは思いますが、どういった形で土地活用をするにしても想定される不安要素がありますよね。そもそも、先例に従うことが必ずしも良い結果を生み出すわけではありません。「人事を尽くして天命を待つ」ではありませんが、いただいた提案を自分なりにしっかりと分析、検討した上で最後は思い切って任せるしかないでしょう。それに、これから20年間の契約期間のなかで予期しないようなトラブルや、介護領域の法改正があるかもしれません。これは白藤さんを信頼しているから言わせていただくのですが、私の立場からしても「20年間ずっと100%契約書通りに物事が進むとは思っていない」というのが本音です。このあたりは
もう自分なりの覚悟や思い切り、としか言いようがないと思いますね。
 確かにおっしゃる通りだと思います。介護領域に関しては今後の変化が読みづらくはありますが、一方でサ高住をはじめとした高齢者住宅がいま社会に求められているインフラであることは間違いありません。私としても長いお付き合いをさせていただき、必要に応じて適宜柔軟に対応させていただくつもりです。

サ高住登録・申請には時間が必要

 実際にそれぞれの段階についてお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。まず、こちらから図面を提出した際にはどのように感じられましたか?

 実は、先ほどのもう一社の提案というのも同じく木造2階建ての30室でした。ただ、デザイン性という面では御社の案に分があったように感じますね。確か、お話のなかで食堂に関しては私からも要望を出しましたよね?
 はい、いただきました。もともとの設計図面から修正を加えて、食堂を入口側の南向きに配することになりました。太陽の光もたくさん採りこめるようになっていますし、結果的にハード面の特長のひとつとなりましたね。また、パートナー選定に際しては実際に大森さまにもご足労をいただいて、運営事業者さんの手掛ける施設や建設会社、設計士が過去に手掛けた物件の見学にも行きました。なにか印象に残っていることはありますか?
 介護に関しても建設に関してもそれぞれ専門的な内容はわかりませんからね。見学の際にあれこれ口を出して質問をさしはさんだり、というのはありませんでした。ただ、社長さまと面談し、こちらでもいろいろと調べるなかで「経営数字の指標だけでなく、取引先や関係機関がしっかりしているか」という点は重視していました。結局、運営会社は白藤さんからご提案をいただいた通り、大阪市の(有)ネクストライフさん、建設は尼崎市の(株)岸本建設さんにお願いすることになりました。もちろんご紹介をいただいているわけですから信頼できる企業であることは確実だとは思うのですが、万が一のことに備えて自分でも調べておく必要はあったと考えています。
 私もこれまでに多くの地主さんと接する機会がありましたが、大森さまはなかでも熱心に情報収集をし、しっかりと分析・判断をご自身でされる方だという印象があります。
 でも、程度の差こそあれ、決して私に限らないことだと思いますよ。いま実際に施設が建って形になったから言うわけではありませんが、いくら説得力のある事業計画や明確なビジョンをご提案いただいたところで、やはりなんといっても初めてのお付き合いですから。こちらとしても、特に初期に関しては慎重に慎重を期した部分がありました。その点、白藤さんは契約の前後ともにこまめに連絡をくれました。実際に姫路まで来てもらって顔を合わせる機会も設けていただきましたし、そうした積み重ねが信頼感につながっていきましたね。
 図面等の調整を終え、金融機関も正式に決定し、次にサ高住登録や補助金関係等の申請がありました。なにか大森さまの方でお手を煩わせるような場面はありましたでしょうか?
 書類が動き出してからは、本当にほぼお任せでしたね。捺印が必要なものをそちらで準備していただいて、こちらは判をつくだけというケースがほとんどで、私自身がわざわざ調べ物をして、ということはありませんでした。難しさはまったく感じませんでしたが、一方で「こんなに時間がかかるものなのかな」という感想はありました。行政が関わることですし、ある程度は仕方のないことなのかもしれませんが、「なるべく早く事業をスタートしたい」と考えている立場からするとじれったい面がありました。
 書面のやりとりがスタートしたのが9月で実際の着工が翌年の2月でしたね。サ高住登録、補助金申請に関しては市町村によって若干の前後はあるのですがおおむね着工まで4~5か月ほどどうしてもかかってしまいます。補助金申請も登録がすんでからになってしまいますので、こればかりはなかなか短縮が難しい部分がありますね。事業スタートまでの期間を少しでも短くするには、書面以外の部分、たとえば設計図の修正や事業プランのブラッシュアップなど私たちが関われる部分でよりスピード感を発揮していくしかないでしょうね。

気になるのは今後のメンテナンス業務

 建設が始まったのが、私が関わらせていただいてから約1年後のことでした。大森さんは結構頻繁に現場にも足を運んでいただいたようですね。

 自宅からも徒歩で10分かからない程度の距離なので、進捗状況を見に行くことはよくありました。
とはいっても、相手はプロですから「どないですか?」といった挨拶程度の会話が中心でしたけどね。パートナーとしてお任せをする以上、素人が必要以上に口を挟むのは逆効果ですし、そこは信頼して作業を任せました。あ、でもひとつ現場監督に繰り返しお願いしたことがありました。どういうわけか工期の間は雨の日が多くて往生したんです。木造だけに湿気を含んでしまうのはよくありませんから、「濡らさないようにきっちり対応してください」というお願いはありましたね。
 実際に建物ができあがっていくのを見てどのように感じられましたか?
 あらためてにはなるのですが、やはり一般的な木造住宅と比較すると規模がまったく違うなと。表向きの耐用年数はさておき、経時劣化がどれくらいのレベルで起こるのか、という心配は若干ありますね。収支表上でもメンテナンス費用をしっかり確保はしているのですが、こればかりは時間が経ってみないとわからないものですから。躯体部分の修繕をはじめ、契約上で定められた私の側の義務もしっかり果たしていきますが、建設会社による定期的なチェックなども欠かせないでしょうね。アフターサービス、メンテナンスの局面においても力を貸していただき、安心させてほしいとは強く思います。私がしかるべき責任を果たさないと、借りていただいている運営会社の方にも気持ちよく仕事をしてもらえませんし、入居者の方にとって安心できる住まいにもなりえませんからね。
 私自身もこれまで90棟以上を手掛けてきましたが、いちばん古い施設であってもまだ築数年のレベルなのです。これから、大森さまがおっしゃるようにメンテナンスの面でご連絡やご相談を受けることも増えてくるでしょうし、ホワイトメソッドのなかでもこれから力を注いでいかなければならない部分だと考えています。さて、建物はすでに竣工し、2015年の7月からは入居が始まっていますが、実際に事業をスタートされてみていかがでしょうか?
 建物のデザインや色合いのトーン的にも周辺地域に溶け込めていると思います。いまも、ほぼ毎日のようにライフパートナー市之郷の前は通っています。こちらも世間話程度にはなりますが、施設の方とコミュニケーションをとる機会はありますし、通るたびに私自身も建物の外観を目視しています。「まだまだ竣工したばかりなのに」と思われるかもしれませんが、意外に大事なことだと思っているんです。さすがに屋根まではチェックできませんが、毎日見ているからこそ早く気づける変化もこれから絶対に出てくるでしょうから。
 ホワイトメソッドは「任せて安心」を謳ってはいるものの、こうして地主さまご自身が主体的に事業のことを考え、動いていただけるのは心強い限りです。

これから土地活用を考える方へ

 では、実際に高齢者住宅での土地活用に取り組み、事業がスタートしたなかでの率直な想いをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
 別にあなたの前だから言うわけではありませんが、取り組んで良かったと心から思っています。たまたま今回のタイミングでの決断にはなりましたが、実はあの土地をどのように生かすかは7~8年前からずっと考えていたことで、結果的に時代のニーズに従った建物をつくることができたのではないかと。自画自賛になってしまいますが、同時期に完成した市内の他のサ高住と比べてもソフト・ハードの両面で負けていないのではないかと思っています。
 なにか、これから土地活用を考える他の地主さんへのアドバイスなどをいただけますでしょうか?

 やはり、一緒に事業を進めていく以上なにもかも任せてしまうのではなくて、自分でしっかり勉強して決断し、伝えることが大事なのではないでしょうか。もちろん、白藤さんもそれぞれのお客さまのためを思ってベストの提案をしてくれてはいるのでしょうが、完全パッケージのモデルで融通がきかないわけではありませんからね。長いお付き合いになるからこそ、言うべきところはしっかりと言っていかないといけないと思います。なんといったらいいのでしょうか、自分で決めるべき部分、任せるべき部分のメリハリを意識しながらお付き合いをするのがいいと思いますよ。
 そうですね。ご要望をお聞かせいただいておく方が、より建設的なアイデアにつながる面は大いにあると思います。先ほど、セミナーに積極的に参加しているお話がありましたが知識や情報の収集はセミナーが中心になるのでしょうか? 土地活用を考えているけれど、どのようにスタートしていいのかわからないという方もきっと多いと思いますので。
 そうですね。セミナーに参加したところで、「いますぐに事業をスタートできる」といったノウハウが獲得できることはほぼないとは思います。しかし、知識を蓄えておくことでいざ事業に取り組んだ際の判断の基準にはなってくれますし、トレンドや時代の流れを知るという意味では継続して参加する意味は絶対にありますよ。また、人脈が広がっていくのは大きいです。何代にもわたって続いている地主さんの場合、士業であったり建設会社であったり、あるいは金融機関であったりと身近にも信頼できる専門家が否応なくたくさん集まることになりますよね。彼らの存在ももちろんありがたいのですが、考え方を常にフレッシュにしておくためにも、外に向かって出かける努力をした方が良いのは間違いありません。
 たとえばこの書籍なども該当するのですが、ノウハウ本やビジネス書などもやはり積極的に読まれるのでしょうか?
 買うには買いますが、正直なところそこまで重視してはいませんね。本棚に置いておいて、必要なときに必要な部分に目を通すという感じでしょうか。まあ、知識や人脈の増やし方は人それぞれだとは思いますが「決断するための材料をなるべく多くそろえておく」というのは絶対に大事です。
 なるほど。今回は実際に土地活用を実行したお立場から、貴重なご意見やアドバイスをたくさんいただいて本当にありがとうございました。

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