ホーム > ホワイトビュー > ニーズに合った賃料設定がカギ

ニーズに合った賃料設定がカギ

2022年01月28日

さて、10項目にまとめたホワイトメソッドもいよいよこれで最後。そして、私がもっともみなさんに伝えたい内容をまとめておきたいと思います。本書でも繰り返しユーザーニーズという言葉を記してきましたが、なにもサービスの内容やハード面のスペックだけの話ではありません。ずばり、賃料設定のタイミングにおいてこそニーズをもっとも意識するべきなのです。「賃料設定は運営会社が決定するのでは?」という疑問の声が起こってきそうですが、なぜ私がわざわざこの話をするのか――。それは事前に地主さんにも賃料を抑えるプランであることを理解していただくことで、私や運営会社と同じ方向を向いて事業に取り組んでいただきたいと思うからです。普通に考えるのであれば、賃料を高く設定して運営会社が儲かるようなプランであれば、一棟貸しの金額もより高く取れるのではないかと浅はかな結論になってしまうかもしれません。しかし、継続的に入居率が高い高齢者住宅でなければ、20年以上にわたる安定した収入は望めないのです。

高齢者住宅の価値を決めるのはユーザー

ホワイトメソッドでは地主さんの建設コストを抑えることを説いてきましたが、これは事業のリスクを抑えるという目的のみならず、入居者が入りやすい賃料を設定するためでもあります。地主さんの投資コストを抑えることは本人のメリットのみならず、入居者のメリットにもつながっていくのです。極端な表現になってしまいますが、入居者がいなければ高齢者住宅になんの価値もありません。入居者に求められる、彼らに喜んでもらえる住まいこそが、いま世の中で必要とされているのです。良い高齢者住宅かどうかを決めるのは、地主さんでも建設会社でも、ましてや私たちのように仲介事業を営む会社でもなく、お客さんである入居者なのです。

ウチシルベのサイトなどでざっと見ていただければすぐにわかるのですが、やはり東京など首都圏や大都市周辺は賃料が高いですし、地方に行くにしたがって月々の家賃は下がる傾向にあります。このあたりは一般的な賃貸住宅とまったく同様です。そのため、地域性によって多少の調整は必要となりますが、ホワイトメソッドで高齢者住宅を建てる場合に大阪では基本的に賃料5万円台前半で設定し、その金額に沿って収支計画を組み立てています。5万円と聞くと極端に低価格であるかのように感じるかもしれませんが、入居者は賃料以外にも食費や介護保険の自己負担分、さらには暮らしに必要な日用品代などを支払う必要があるので、「年金の範囲内だけでなんとかやりくりしたい」という方にはこれでも精一杯に近いように感じます。これは自信を持って断言できることなのですが、賃料設定の背景にも私たちが長年にわたって蓄積してきたマーケティングのデータがあります。この地域ならいくらの設定で入居者が集まるのか、競合の状況はどうなっているのか――。表向きの情報だけであれば誰もが閲覧できるでしょう。しかし、私たちが集める情報は私自身やお住まい相談員が各地の高齢者住宅にこまめに足を運び、ネットワークを築き、そしてユーザーとも向き合いながら得たもの。いわば地に足のついた情報であり、他の企業やコンサルタントに負けることは絶対にありません。
ホワイトメソッドは、確かに地主さんにとって「任せて安心」のプランだと思います。しかし、自らの投資の先にはひとりひとりの入居者やそのご家族がいることを意識していただければ、私としてもこんなにうれしいことはありません。

トップページへ