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デイサービスはマストではない!

2022年01月14日

デイサービスは、文字通り高齢者が日中を過ごす場所。同じ世代の仲間と一緒に過ごすことで、「疎外感や孤独感を感じないように」という大義のもとで運営されています。食事の提供や、曜日を決めての入浴介助などが基本的なサービス内容になりますが、事業所によって日々の過ごし方はさまざま。手先を動かす創作系のアクティビティが充実しているデイもあれば、病院さながらの器具をそろえてとことんリハビリに取り組むデイなどもあります。また、一方では「毎日来るのはいいけれど、ずっと寝ているだけ」のようなデイも残念ながら数多くあります。とはいえ、家族にとっても介護の苦労から日中だけでも解放される時間でもあり、必ずしも「寝ているだけ」のデイが社会にとって悪いとも言えない側面もあり、このあたりはなかなか難しいものです。

ひと昔前は、デイサービスを併設したサ高住や有料老人ホームがもてはやされた時期がありました。
利用者にとっては同じ敷地内にあることで毎日通いやすいというメリットがありますが、それはあくまでも建前。なによりもその背景にあったのは運営側の収益の問題です。細かな数字は割愛させていただくものの、たとえば3階建てのホームがあるとしましょう。1階~3階をどちらも居室とするよりも1階はデイサービスとして活用し、2~3階のみを居室として利用する方が介護報酬を多く取れました。また、居室の数そのものが少なくなる分、空室リスクを小さくできるというメリットも見逃すことはできません。いわゆる「囲い込み」などとも呼ばれるもので、デイサービスだけでなく併設した居宅介護支援事業所や訪問介護・看護事業所などとも連携し、入居者の介護にまつわるすべての費用を一事業所が吸収するような仕組みが生まれつつあったのです。必ずしもすべての事業所がそうだというわけではありませんが、事業者の論理だけで行われるサービス提供が目についたこともあって、厚生労働省がメスを入れたのは2015年の介護報酬改定。具体的には、同じ敷地内の介護・看護事業所を利用した場合には介護報酬が減算されることとなったのです。一時は、国が併設を後押しするような流れがありながら一転しての判断となったことについては、是非を問う声も多々ありました。しかし、私はこの決定によってこれからの日本の介護のあり方がより正しい方向に導かれるのではないかと感じています。

 入居者にもっと選択の自由を

そもそもデイサービスを併設しないと成り立たないような収支構造は、問題があると言わざるを得ません。たとえ、デイサービスの存在で一時的には帳尻があったとしても、本丸である高齢者住宅部分が弱いのでは、まったくもって話になりません。ホワイトメソッドでは、運営会社の希望によって併設型で建設した案件もありますが、基本的にはデイサービスの併設は考えず、フロアをすべて居室として活用するスタイルを提案してきました。
そして、これからのトレンドは入居者がより自由に暮らし方を選択するスタイルだと断言できます。
私は多くの運営会社社長とお会いしますが、運営ビジョンが明確になっている社長ほど、国の方針を事前に察知し、周辺サービスの自由化に踏み切っていたように感じます。以前からのケアマネさんを継続して利用したい、外出するのが好きなので外出系のアクティビティが充実しているデイに行きたい、など入居者の希望はさまざまです。それらを無視して「うちの系列サービスを利用しなさい」ではこれから先の競争を勝ち抜くことは絶対にできないでしょう。

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