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建設・設計は高齢者住宅経験者に任せるべし

2020年02月21日

土地と建設業は切っても切り離せない関係です。

一般のサラリーマン家庭の場合は、建設会社と関わる機会というのはせいぜい一生に1度か2度、マイホームを建てるときだけだと思いますが、多くの土地を持っている地主さんの場合はそうもいきません。特に、代々にわたって同じ土地をずっと持ってこられた方の場合、何十年にもわたってお付き合いがあるような地元の建設会社があるケースも珍しくありません。実際に私がこれまでにお会いした地主さんのなかには、自らの土地を生かすために多くの建築案件に関わってこられた方がたくさんおられました。
お抱えの建設会社を持っている地主さんの場合、事業計画の比較的早い段階で私にこう言うのです。
「長いお付き合いの会社があるから、できたらそこを使ってもらえないだろうか」と。こうしたご紹介
が私にとっても新しい出会いのきっかけになることもなくはないのですが、詳細に伺ってみると「高齢
者住宅に関わったことがないし、近くにブレーンになってくれるような存在もいない」という現実にぶ
ち当たることがほとんどであり、となるとお任せするのは難しいと言わざるを得ません。
建設会社だけでなく、設計士にしても同様です。いや、建物全体のグランドデザインをする設計士の方が大切かもしれません。私もごくまれに、「白藤さん、これどう思いますか?」とすでに完成した図面を関係者から見せていただくことがありますが、たいていそれは関係者の方も図面をよく思っていないとき。そして往々にして初めて高齢者住宅を手掛ける設計士が引いた図面だったりします。

いま「具体的にどの部分が」と言えるわけではないのですが、共通しているのはユーザーへの目線が欠けてしまっていることです。定められたバリアフリー対応を取り入れることが、高齢者住宅建築ではありません。たとえば、高齢者にとっては館内の移動も身体的な負担になりますが、なかには入居者に多くの移動を強いてしまうような生活動線もあります。また、運営会社のスタッフは立場こそ違え、建物を日常的に使用するユーザーのひとり。死角になる部分が多いと、すべてに目をいきわたらせるのは大変ですし、場合によっては人員を追加しなければならないケースさえあります。使いやすいように、動きやすいように、ということを徹底しようと思えば、やはり介護分野でのそれなりの知識と経験値が必要です。

 

現場での微調整も豊かな経験がベースに

ただ、経験のある設計士と建設会社をセッティングしたからといって、すべてがそのまま図面通りに進むわけではありません。実際に作業を進めてみると、「このダクトはこちらに通した方がいいのではないか」「設備の場所は変更した方がよさそうだ」といった現実的で細かな図面変更は往々にして登場します。「じゃあ建設会社なんてどこを使っても一緒じゃないか」と思うかもしれませんが、よく考えてみてください。もし、経験の浅い建設会社であればいったんトラブルがあれば設計士の指示を待つよりほかなく、どうしても工期に影響が出てしまいます。ただ、高齢者住宅をよく知る「できる」建設会社の場合は現場目線の代案や新しい提案が出てくるケースも多いですし、工程表を柔軟に入れ替えての対応など、時間のロスを最小限に抑えられるのです。
これまでのお付き合いもあるでしょうから、まったく新しい建設会社や設計会社を使うことを頭ごなしに否定するわけではありません。しかし、より少ないリスクでの建設を考えるのであれば、私は経験値の高い会社を強くオススメします。

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