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地主さんが賢く 収益を確保するために

2020年01月03日

さて、いよいよ高齢者住宅を通じた土地活用の具体的な話へと切り込んでいきましょう。まず、大前提として「どの高齢者住宅を建てるか」についてですが、私がみなさまに推したいのは住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の2つです。先ほど触れたように、住宅型有料老人ホームは厚生労働省の系譜(介護からの発想)、サービス付き高齢者向け住宅は国土交通省(住宅からの発想)の側にルーツを持つものですが、利用者の立場から見ると2つは非常に似ています。いや、きっと建物を見ただけでは違いは絶対にわからないと思いますし、居住後に利用できるサービスも限りなく近しいものがあります。知識として、高齢者住宅の種別を知っておくに越したことはないですが、法制上の区分だけにとらわれるのではなく現実をしっかり認識することも必要です。

登録&届出だけで建設が可能

この2つの高齢者住宅を推すのにはいくつかの理由があります。

最初に、在宅介護へと力を注ぎ始めた国の方針に合致する施設であること世の中のニーズに合った存在であること、そしてより具体的には建設や新規参入に際してのハードルが他の施設と比べて低いことが挙げられます。

たとえば介護付有料老人ホームやグループホームなどいわゆる「特定施設」に分類される施設は、いくら空いている土地があろうと民間の都合でポンポンと建てるわけにはいきません。建設する前に自治体が開催する入札に参加し、まず権利を取得しないとならないのです。ちなみに、市町村がどのような街づくり、社会づくりを進めたいかによって建てられるかどうかも変わってきます。

たとえば、くらし計画は福岡市内にもオフィスを構えていて街の状況をよく知っているのですが、同市内では何年も前から行政の方針で介護付有料老人ホームが新築されていないのです。

高齢者の暮らしに大きく関わるサービスだけに、国や自治体が決めた法律やルールに従って運営するのは当たり前のこと。

ではありますが、民間ならではの柔軟さやスピード感のある決定がしにくいという面は確かにあるでしょう。その一方で、住宅型有料老人ホームは届け出制、サービス付き高齢者向け住宅は登録制となっていて、所定のルールに従いさえすれば、こちらのペースで建設を進めることができます。
では、住宅型とサ高住とではどちらが土地活用の面で優れているのでしょうか?

私のキャリアを振り返っても、この問いに明確な答えはなく、ケースによって異なるとしか言いようがありません。実際に私が手掛けた高齢者住宅にはサ高住もあれば住宅型もあります。
登録制をとるサ高住は、ハード面で高齢者が安心して暮らせるようにさまざまなルールが設けられています。たとえば、居室の面積は25㎡(共同浴室など充分な共用スペースが設けられている場合は18㎡)以上と定められているほか、充分な幅を持った廊下の設置などバリアフリー対応も徹底されています。

一方で、住宅型はハード面ではより柔軟性のある設計が可能であり、たとえば居室のサイズを一回り小さくするなどの工夫によって、限られたスペースをより効率的に活用することができます。介護施設の運営会社にとっての収入は、もっともシンプルな式に直せば「居室数×月額費用」ですよね。そう考えると、居室数がたくさんある方がメリットは大きいように見えますが、サ高住にはこれまでのところ建設費の10%に相当する補助金が出ているため、初期投資を抑えられるという利点があります。
地主さんに土地活用を提案する際には、こちらが運営会社をセッティングすることになりますが、運営会社にも得手不得手があります。「住宅型をやるなら手を組みたい」「サ高住であれば検討する」といった場合もあるので、2枚のカードを時と場合に応じて使い分けることが、運営のリスク、ひいては土地活用のリスクをミニマイズすることにつながるのです。

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