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知っておきたい 高齢者住宅のいろは

2019年11月22日

ここまでの章で、私が事業に懸ける想いやマーケットのおおよその様子はご理解いただけたのではないかと思います。高齢者住宅とひとまとめにして話をしてきましたが、このあたりでどのような種類があるのかいま一度まとめてみましょう。

私たちも、ウチシルベ事業を通じて、実際にいま施設を探しているユーザーさまの声を聴く機会が多くあります。しかし、高齢者住宅に関する予備知識がない方がほとんどです。リーフレットなどを通じてお住まい相談員がご説明を差し上げると、喜んでいただくケースが多いのも頷けます。いや、「知識がない」と言ってしまうのは適切ではないかもしれません。むしろ介護業界や周辺業界からの情報発信量が少なく、「できるだけくわしく知りたい」という気持ちは強くあるものの「どこから調べていいのかわからない」という方が多いのではないでしょうか。
もちろん、事前に準備をしておくに越したことはないのですが、根本的には誰もが介護の当事者にはなりたくないはず。いざ自分が介護に向き合わなければならないタイミングになって、慌てて現状を知ろうとする姿勢も仕方のないものだと思います。私を含めて誰しもが、「親がこのまま歳をとったらどうなるんだろう」と考えることはあると思うのですが、では来たるべきときに備えていまから自分の時間を割いて準備ができるかどうか、となるとまた別問題です。
昔から「ピンピンコロリ」などと冗談めかして言われるように、ご家族に負担をかけることなくあっさりと(この表現が適切かどうかはわかりませんが)亡くなる方もおられるわけですし、人生で一度も介護に直面することがない幸運な方だってもちろんいます。「介護される(する)ことなく、人生を送れたらいいなあ」という考えは高齢者ご本人もご家族だって同じ。「いつか自分たちのもとにやって来るかもしれない不安を、漠然と心のなかで捉えている」というのが日本全体の姿かもしれません。
かくいう私も偉そうに語ってはいるものの、この仕事をしていなければ、介護や高齢者住宅のことをなにも知らないままで過ごしていたのではないかと思います。この章では現在の日本における高齢者住宅の区分とともに、私なりの将来に対する予測も含めてお伝えしていきたいと思います。

おくわしい方からすればまどろっこしい内容もあるかもしれませんが、復習がてらお付き合いいただければと思います。
ひとつ余談になりますが、みなさんは日本で初めて作られた老人ホームはどこかご存知でしょうか?
私も本書を執筆するなかで初めて知ったのですが、日本で最初の高齢者向け施設は明治29(1895)年に東京市芝区(現・東京都港区)に建てられた聖ヒルダ養老院だそうです。イギリス人の女性伝道師の手によって誕生し、女性だけを受け入れる施設だったそうです。ここ10年ほどで激動のときを迎えている業界ではありますが、歴史そのものは想像よりも長いんですね。

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