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介護付き有料老人ホームは誰が求めている?

2019年12月20日

介護付きは誰が求めている?

いま伸びているサ高住や住宅型有料老人ホームについての詳細は後の章に譲ります。次に、介護付有料老人ホームの現状とこれからについて考えてみましょう。地域包括ケアシステムに込められた国の意図が「脱施設」「在宅強化」であることは介護関係者なら誰しもが理解しているでしょうし、いわゆる「施設」の筆頭的存在である介護付有料老人ホームは今後その割合を減らす一方でしょう。
ただ、国が「あーしたい、こーしたい!」という以前に、私は介護付有料老人ホームと現在の人々のニーズの間に横たわるギャップこそが問題ではないかと思います。ここでも再び歴史を紐解いてみましょう。

00年代以前、すなわち高齢化が今ほど問題視されておらず、介護保険制度が整備されるまでの時代は、老人ホームは「わざわざ選んで入るもの」だったと言えます。なによりいまとは「周囲の目」が違った時代。世間体を気にして在宅介護を決断される方もたくさんいたことでしょう。
再び余談になりますが、時代劇などでの活躍で知られる北大路欣也さんは、1990年代後半に、ご両親を老人ホームへ入居させたことがきっかけで各方面からバッシングされたそうです(私自身がそのニュースを知ったのはつい最近になってからのことなのですが)。しかし、ホームを「姥捨て山」と切り捨ててしまえたのは、多くの人にとってまだ高齢化社会が「いまそこにある危機」ではなかったからにほかなりません。この国に暮らすほとんどすべての人にとって、高齢化社会がなにがしかの形で影響を与えているいま、同じように「ホームは姥捨て山だ」「子どもなら最期まで面倒を見るべきだ」「親の世話をしない奴は冷血人間だ」などとはっきりと言える人は果たしているでしょうか?
そうした覚悟自体は一切否定するものではありません。しかし、在宅介護と施設入居のどちらが正しいか、などという問題には永遠に答えが出ないもの。ご本人やご家族がしっかり話し合ったうえでの結論であれば、余人をしてとやかく言うべきものでもありません。ただ、私がなにより気になるのは、高齢者住宅への入居を選択する方の幅が以前よりぐっと広がっていることなのです。

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