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サ高住が誕生するまで

2019年12月13日

サ高住が誕生するまで

この際ですから、みなさまの理解を深めることにもつながると思いますので、サ高住誕生に至るまでの流れも触れておきましょうか。

実は、00年代までの国は「老人ホームと自宅の中間のような存在」、いわゆる現在のサ高住のような高齢者住宅にどちらかといえば否定的だったように思います。代わりに高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)といった高齢者向けの住宅整備が進められていました。
コーセンチン、コーユーチン、コーエンチン……。聞いているだけでわかりにくいですよね。実際にその違いをすべて理解してその当時に住まい探しをされた方というのは、非常に少なかったのではないかと思います。
名前からもわかるようにこれらはすべて老人ホームではなく「住宅」でした。しかし、制度によってそれぞれの仕様が異なり、面積やバリアフリーの有無もさまざまだったのです。ましてや生活支援やいわゆる介護サービスの提供にはなんの強制力もなかったこともあって、高齢者が安心して暮らせる住宅、暮らせない住宅の違いがとても大きかったのです。
もちろん、なぜそのような政策を進めたかには理由があります。一般的に介護分野を管轄するのは厚生労働省、住宅分野を管理するのは国土交通省です。厚労省の立場からすると、住宅に生活支援や介護に類するサービスが付属することで「運営会社によるユーザーの囲い込み」が生まれることを懸念した、と言われています。しかし、高齢化が進むなかでそんなきれいごとが言っていられなくなった、というのが現実であり、両省庁が中心となって2011年4月にサ高住の制度が誕生したのです。
それまで「在宅」といえば家族と自宅にいながら暮らすことを主に指しており、「高齢者住宅」「高齢者施設」「老人ホーム」といった言葉のちょうど対極に位置するものでした。しかし、サ高住の登場と整備によってその境界はもはやなくなりつつあり、サ高住での暮らしが新たな在宅介護の主流となることは間違いありません。
これを裏付けるように、サ高住誕生と相前後して厚労省では介護に関する新しい概念を定義づけました。平成24年度介護保険制度改正において目玉と位置づけられた地域包括ケアシステムです。極めてシンプルにまとめてしまうと、「地域みんなで一緒になって高齢者の暮らしを支えましょう」というのがその
骨子。

地域包括ケアシステムとは

住まい、医療、介護、予防、生活支援をオールインワンで提供しながら、高齢者がなるべく昔から住み慣れた地域で暮らすことをめざしたものです。国も団塊の世代が後期高齢者へと差し掛かる2025年をひとまずのターゲットと設定しており、いまがまさにシステム構築をはかっている最中なのです。

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